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2015.12.21 レポート

エンパク★こども映画教室 2015

2015年11月21日(土)〜11月23日(月・祝)に、早稲田大学キャンパス内で開催された「エンパク★こども映画教室」。3日間のワークショップの最終日にお邪魔しました。

「早稲田大学 坪内博士記念演劇博物館(通称:エンパク)」と「こども映画教室」のコラボレーションである本ワークショップは、昨年の秋に続き2度目の開催。前回同様、特別講師として是枝裕和監督が見守るなか、30名の小学生が映画製作に挑んでいました。

こども映画教室@ヨコハマ 2015夏についてはこちら>

黒板に書かれたみんなの黒板に書かれたみんなのハテナ

訪れたキャンパス内の教室は、なんだか慌しい雰囲気。初日に監督から出されたテーマは「早稲田キャンパス近辺で”?(はてな)”を探して映画にする」です。3日目の最終日は、編集作業と映画のお披露目となる上映会の日。1日目で見つけた「?(はてな)」をテーマに2日間にわたって撮影を行い、3日目に仕上げる――スケジュール表にはそう書かれていたものの、4〜5名のこどもたちからなる各チームの動きは様々です。

チームによっては納得がいかず、撮影をぎりぎりまで続行するなど画策。納得のいくものを作りたい、けれども時間に間に合わせなければならない、そんな物づくりの現場ならではの雰囲気です。こどもたちは一台のパソコンをくっついて覗き込んだり熱心に話し合ったり、その様子からは一体感が感じられます。チーム内での役割分担も出来てきたようで、編集作業をしないメンバーは、自分たちの作品のポスター作りを別進行。壁一面に張られた映画チラシをじっと見て、アイデアを膨らませているこどももいました。

(左)是枝監督の話を聞くこどもたち (右)パソコンを使って映像を編集中(左)是枝監督の話を聞くこどもたち (右)パソコンを使って映像を編集中

驚いたのは、「こどもって、こんなにすごいんだ」ってことです。お恥ずかしい限りですが、初見学の私はもっとこう、大人の力を借りなければ出来ないのでは?と思い込んでいました。そこには「映画を創ること」=「大人にしかできないこと」という既成概念があったのかもしれません。カメラを使いこなし、編集作業を行い、何をどうするか議論している姿は、想像をはるかに超えて本格的!

各チームにいる3名の大人たちは決して指導をせず、考えるのはすべてこどもたち。あるチームで撮った映像を確認している時、「この映像はカメラをわざと動かしているね。何か意図があるの?」と大人が質問。こどもはそんなことを聞かれるとは思っておらず「ただの失敗だよ?!」と笑ってごまかすも、その後、何かを考えこむような表情に。きっと質問されたことを思い返して、カメラを動かしたのはなぜなのか?と自問自答していたのかもしれません。私だって考えこんでしまうような質問を、こどもたちが考えている…。

(左)映画のチラシを細かくチェック (右)上映会場に飾るポスターを作成(左)映画のチラシを細かくチェック (右)上映会場に飾るポスターを作成

エンパクの館長・岡室 美奈子(おかむろ みなこ)教授にお話を聞くことができました。もともと、伝統芸能などでこども向けイベントは開催されていたそうですが、現代的な企画を探していたところ、岡室さんの旦那様とこども映画教室代表の土肥悦子さんが中学校の同窓生というご縁で、エンパク×こども映画教室 コラボレーションの実現に至ったそうです。エンパク主催の企画ですが、初回時は何もかも初めてだったため、こども映画教室の皆さんが中心となって開催されました。2度目の今回は、前回よりもエンパク主体の運営に。

「失敗も楽しんでほしい」と、にこにこと柔和な笑顔で語る岡室館長。映画で使うための街頭インタビューは、見知らぬ大人にこども自ら交渉し、コメントを引き出す――当然断られることもあります。でもそこで諦めず、やり方を見直して次の人に交渉していく。確かに、そういった普段体験できない挫折を繰り返すことは、「失敗が悪いことではない」と知る貴重な機会になるはずです。関わる大人の数の多さにも驚きましたが、その全員が同じベクトルと熱量でこどもたちと真剣勝負している姿を、教室のいろんな場所で目にすることができました。

上映された各作品は「こどもだから」という冠は不要で、ひとつの映像作品として私たちに気付きと驚きを与えてくれました。自由に想像の翼を広げ真剣に向き合った、オリジナリティ溢れる作品がラインナップ!登壇してにこにこと笑顔のこどもたちに対し、むしろコメントして涙するのはサポートした大人たちでした。上映会が終わり、親御さんたちと飾られたポスターを眺める姿は、こどもらしさいっぱいなのに…彼らの持つ力に驚かされ、気付かされる一日でした。

映画作りは大人のものではなく、真剣に取り組むことが出来る人であれば、誰だって挑戦できる芸術なのだなと、私にとっても発見の一日となりました。

上映会の後はみんなで記念撮影上映会の後はみんなで記念撮影
■こども映画教室公式サイト
http://www.kodomoeiga.com/
■こども映画教室Facebookページ
https://www.facebook.com/kodomoeiga/
■早稲田大学演劇博物館
http://www.waseda.jp/enpaku/

(Writer:市川けい)