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2017.01.16 インタビュー

『東京ウィンドオーケストラ』坂下雄一郎監督×主演・中西美帆インタビュー

「力のある監督が撮りたい映画を自由に撮る」「新しい俳優の発掘」がコンセプトの松竹ブロードキャスティングオリジナル映画製作プロジェクト。過去2作品はいずれも高い評価を獲得し、映画賞受賞やロングラン上映を達成した。その第3弾となる作品『東京ウィンドオーケストラ』が2017年1月21日から公開される。
今回も監督オリジナル脚本と、ワークショップで選ばれた俳優陣により、”監督のやりたいこと”が中心となっている。笑いの中にもささやかな感動を残すハートウォーミングな作品を作り上げた二人、日本映画界の新鋭・坂下雄一郎監督と、今注目の若手女優・中西美帆さんにお話を伺った。

 

−まずはこの作品が生まれたきっかけについてお聞かせください。

坂下:大学院時代(東京藝術大学大学院映像研究科)に企画から公開まですべて自分たちでやる、というカリキュラムがありました。その時の作品をプロデューサーが見て覚えてくれたことがきっかけで、今回に繋がりました。
その作品がコメディだったので、今回もコメディっぽい作品という希望がありましたね。明るい作品を作ろうと思って出来た作品です。

−ベテランから演技初心者まで、様々な背景の俳優陣が集まっていますね。現場ではどのようにコミュニケーションを取られたのでしょう?

坂下:最初に募集をかけてワークショップをやり、その中からオーケストラのメンバー10人と主人公・樋口の上司役を決めていきました。
参加者には1日4〜5時間を4日間に渡って演じてもらいました。特に参加者の演技経験などは意識しなかったです。シナリオもありましたし、自然な流れで決まっていきました。(コミュニケーションの面でも)演技初心者だから、と気にすることもなかったですね。

『東京ウィンドオーケストラ』
©松竹ブロードキャスティング

中西:私が演じた樋口は他のメンバーと対立する立場なので、最初は監督に「あまり仲良くしないで」と言われていたんです。でも撮影中ずっと一緒に生活を共にしていたので、本当に仲良くなって撮影が楽しかったです!
プロデューサーの松岡さんは料理が得意で食事を作ってくれたり。映画に登場したホテルに私たちも泊まっていたんですが、松本さん(山崎輝彦役)宛にすごい差し入れが届いて「松本さんって何者・・!?」と思うことがあったり(笑)。松本さんは元々松竹の偉い方だったみたいで・・・そういう事も含めて、本当に色々な方がいて楽しかったんです。まるで家族みたいでしたね。

坂下:「仲良くしないで」なんて言ったんですね・・・覚えてないです。

−結局仲の良い雰囲気になったんですね(笑)。

−主人公の樋口というキャラクターはなげやりで、時に冷たい印象もありましたがどこか憎めず、笑いの中心にいて無表情で楽団員を巻き込んでいく。この人物はどのように出来上がったのでしょうか?

坂下:元々は明るいキャラクターを考えていました。演じてもらったら何かうまくいっていないな・・・と。それで色々試した結果、無表情なキャラクターになりました。
どうにか作り上げなければいけないので、試行錯誤しましたね。

中西:最初は明るく演じていたんですが、正反対に「無表情でやってみて」と監督に言われて、そこからあのキャラクターにどんどん近づいていきました。

−オーケストラメンバーはワークショップを経て、屋久島でのオールロケですね。室内シーンも多いですが、やはり屋久島のゆったりした空気を感じました。実際の現地はいかがでしたか?

坂下:元々「屋久島」という設定があった訳ではなく、”地方のどこか”と考えていました。舞台をどこにするかプロデューサーと話し合って屋久島になったんです。「この場所だから」ということもなく、現地でも自然に撮影していました。

−場所が変わることで、演じ手のスイッチが切り替わるような事はありますか?

中西:はい、それはあります。役作りをする上でやっぱり場所は大きいと思いました。
都会で台本を読んで考えるのとは違う、屋久島に降りたった時に、島から受けるインスピレーションのようなものがありました。
私は撮影の前日に1日お休みがあって、車をお借りして島をぐるっとドライブしたんです。私にとっては、その時間がとても良かったと思ってます。

−撮影中に特に心に残ったことはありますか?

中西:本当に色々あったんですが、私は自転車の運転が苦手で・・・撮影中に乗った事をよく覚えています(笑)。

−映画の中で疾走していましたね(笑)。

『東京ウィンドオーケストラ』坂下雄一郎監督×主演・中西美帆インタビュー

−今回は「監督が作りたい作品を作る」「新しい俳優の発掘」を目指す、松竹ブロードキャスティングのプロジェクトですね。このような試みの元での映画作りはいかがでしたか?

坂下:まだ大きな作品を撮ったことがなく、商業映画も初めてなので何とも言えません。ですが、このプロジェクトでは自由にやらせてもらったと思います。
もちろん内容についてのやり直しはありましたが、題材なども尊重してもらえましたし、全体的にやりやすかったです。

−最後にメッセージをお願いします。

坂下:気軽な気持ちで見てもらえる作品ですので、劇場で楽しんでもらえればと思います。

中西:最近の映画は情報量が多くて、考えながら見ないとわからない作品もたくさんあると思います。そんな中で『東京ウィンドオーケストラ』の魅力は、なんといっても純粋に楽しめる所だと思います。
若い方から年配の方まで多くの方に見て頂きたいので、ぜひ新春の初笑いとして劇場にいらしてください!

−本日はありがとうございました!

 
『東京ウィンドオーケストラ』

舞台は世界遺産・屋久島。
有名オーケストラと間違われて島にやってきたアマチュア楽団と、彼らを“本物”として押し通そうとする島の女性職員が巻き起こす、笑いと感動のハート・ウォーミング・コメディ!

『東京ウィンドオーケストラ』
©松竹ブロードキャスティング

【STORY】
屋久島で日本有数の吹奏楽団を招いたコンサートが開催されることになった。担当の役場職員・樋口が港に迎えに行くと、そこにいたのは観光気分の10人の楽団員たち。だが島をあげての大歓迎を不審に思った彼らは、自分たちが有名オーケストラと間違われていることに感づき、島から逃亡しようとする。同じ頃、彼らが偽物だと気づいた樋口は自分のミスを隠すため、彼らを“本物”としてだまし通すことを決意する―。刻一刻と迫る開演時間。果たして樋口と素人同然のアマチュア楽団員たちは、このピンチを乗り切ることができるのか!?

2017年1月21日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開
公式サイト:http://tokyowo.jp/

 

監督・脚本:坂下雄一郎
出演:中西美帆、小市慢太郎、松木大輔、星野恵亮、遠藤隆太、及川莉乃、水野小論、嘉瀬興一郎、川瀬絵梨、近藤フク、松本行央、青柳信孝、武田祐一、稲葉年哉

製作:松竹ブロードキャスティング  配給:松竹ブロードキャスティング/アーク・フィルムズ
宣伝:アーク・フィルムズ/デジタルSKIPステーション
制作プロダクション:ドラゴンフライエンタテインメント  
©松竹ブロードキャスティング <日本/2016/ビスタ/75分/ステレオ>