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2017.04.03 インタビュー

地下アイドルにハマっていく無口な職人を描いた短編『堕ちる』村山和也監督インタビュー

「第6回きりゅう映画祭」で初公開され、その後数度の上映イベントで会場を湧かせた問題作『堕ちる』が東京・大阪でついに劇場公開される。過去の上映では回を重ねるごとに口コミが広がり、各地で満員御礼状態に。そんな作品の魅力のみならず、本作を作り出した村山和也監督ってどんな人?という好奇心も埋めるべく、監督本人にお話をうかがった。

織物職人×地下アイドル『堕ちる』とは?

『堕ちる』は「第6回きりゅう映画祭」の公募により、映像ディレクターとして活動する村山和也監督により制作された30分の短編映画。
中年の無口な織物職人・耕平がふとしたきっかけで地下アイドルの”めめたん”を知り、一直線にハマっていく物語。真面目でこれといった趣味もなく、仕事一筋のストイックな主人公が”めめたん”に焦がれる姿は、まさに『堕ちる』のタイトル通り。痛々しさと滑稽さが入り混じり、身につまされながらも笑える作品だ。

CMや乃木坂46、NMB48などの映像制作に携わってきた村山監督は「映画を作り続ける宣言」のつもりで撮ったと語る。本格的な映画制作は今回が初だが、30分とは思えない見応えある作品となっている。

『堕ちる』

 

堕ちていくけど実はハッピーな物語!?

「職人とアイドル」このミスマッチな組み合わせは、制作のきっかけとなった映画祭開催地・桐生市と村山監督自身の経歴から来ている。
「きりゅう映画祭用の作品制作の時、現地を歩くと服屋が多くて、職人を主人公にしようと決めました。また映像の仕事でアイドルのMV制作を多く手がけていたので、ヒロインはアイドルを起用することに。少なくともアイドルファンは見てくれるだろう、と。」
とは監督の言葉。
また主人公・耕平は監督自身でもあるという。
「僕自身はアイドルファンではありません。でも映像ディレクターとしてオーダーされたものを制作する自分が”映画を撮る”行為と、職人の耕平が”めめたん”のために自分の殻を破っていく所は同じ。これで受け入れられなかったら映像の仕事を辞めてもいい、くらいの気持ちもありました。別のステージへ上がりたい、そんなイメージです。」

『堕ちる』

 

ではタイトル「堕ちる」と次のステージへ「上がる」の繋がりは?
「人が堕ちる姿を見てみたい。位の高い人が堕落していく話は好きですね。この作品は堕ちた先に別のステージがある、ということを描いたつもりでハッピーエンドなんです。色々な要素はありますが、基本はコメディです。
1本目の映画ですし、ストーリーを途中でスパッと切って終わらせず、しっかり終わらせたかった。」
しかしわかりやすいハッピーエンドとは一味違う本作。このエンディングが受け手によって180度違う。(ネタバレになるので書かないが)ある人は「耕平が生まれ変わった」と言い、別の人は「ここまで堕ちたか」と千差万別。
過去の上映では”めめたん”役の錦織めぐみさんが現役アイドルということもあり、アイドルファンが集まった回ではドルオタあるあるネタで笑いが起こり、耕平に萌える女性がいたり....本作の楽しみ方や解釈は幅広い。

映像の仕事で得たバランス感覚と”監督”という仕事

元々映画が大好きな村山監督。普段の映像の仕事と映画制作は全く違ったようだ。
「1番違ったのは自分で全て決定できたこと。普通はプロデューサーや色んな人の意見が入ると思いますが、今回は好きにやれて面白かった。ただ誰からも何も言われないと、悪い方向に行く可能性もある。巨匠が何も言われなくなって裸の王様になっちゃうこともあると思います。
仕事で色々な意見を言われて培った判断基準があって、ずっと自主映画を撮ってきた人とそこは違うかもしれません。今回は過去のクライアントワークがあったから、いいバランスで人に見せられるものができたと思っています。これからもバランスを取れる監督でいたい。」
と、映像の作り手として真摯な意見を語った。

『堕ちる』村山和也監督
村山和也監督

ちなみに耕平という名前は、監督が自身の叔父さんから拝借したもの。主人公の性格にも影響を与えているこの叔父さんは、子供の頃一緒に住んでいたものの1度も言葉を交わさなかった。既に亡くなっているが、キャラクターは映画の中で生き続ける。
「家族の名前を使う事も映画へのモチベーションですね。自分の映画じゃなきゃこれは許されない。自分なりの弔いで自己満足です。」
といたずらっぽく明かした。

何度も主人公は”無口”と書いたが、実は後半の重要なシーンで3回だけある言葉を喋る。その言葉とは何か....そして耕平の恋心はめめたんに届くのか、堕ちた先に何があるのか、顛末はぜひ劇場で!


監督プロフィール
村山 和也(むらやま かずや)
映画監督/映像ディレクター
1982年石川県生まれ。2002年ニューヨーク市立大学在学中に短編映画から映像制作を始める。2004年帰国後、CM制作会社を経て2008年よりMV・CMを中心に映像ディレクターとして活動をスタート。
映画「堕ちる」が、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2017 オフシアターコンペティション部門 スペシャル・メンション受賞。

「堕ちる」(2016年 32分)
かつて織物産業が盛んだった群馬県桐生市。寂れた織物工場で働く仕事一筋の織物職人耕平が、ふとしたきっかけで地元の地下アイドル「めめたん」と出会い、彼女の魅力にハマっていく。そして忘れていた感情を取り戻していく・・・。
苦しいほどに恋に落ちた中年男の愛に溢れる濃縮された30分のラブストーリーが、地下アイドルめめたんの楽曲「wonderland」にのせて紡がれていく。真面目な織物職人の「ガチ恋」の行方、そして「堕ちる」果てには何が待っているのか!?
出演:中村 まこと / 錦織 めぐみ (Luce Twinkle Wink☆) ほか

『堕ちる』

上映情報
2017年4月8〜14日 新宿シネマート
2017年4月29〜5月5日 シアターセブン(大阪)
詳しくは映画の公式サイト、または劇場のHPをご覧ください。
『堕ちる』公式サイト http://ochiru-film.com/
公式Twitter @ochiru_film
シネマート新宿 http://www.cinemart.co.jp/theater/shinjuku/
シアターセブン http://www.theater-seven.com/

トークショー情報
★シネマート新宿ゲスト
4月8日(土) 19:30 中村まこと、錦織めぐみ(Luce Twinkle Wink☆)※初日舞台挨拶
4月9日(日) 20:30 宇多丸(RHYMESTER)
4月10日(月) 21:15 佐々木俊尚(作家・ジャーナリスト)
4月11日(火) 21:15 福原香織(声優)
4月12日(水) 21:15 前口渉(作曲家)
4月13日(木) 21:15 鈴木亜香弥(衣装デザイナー/スタイリスト)
4月14日(金) 21:15 都築響一(編集者)