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2017.10.22 ISSUE

これからの映画体験を考える。「星降る町の映画祭 with CINEMA CARAVAN」に行ってきました。

シネマトリップの映画祭情報としてもお伝えしていたイベント「星降る町の映画祭 with CINEMA CARAVAN」を取材してきました。上映された若き監督たちへのインタビューや、会場となった神奈川県三崎町城ヶ島の雰囲気もあわせて、独特の魅力をレポートします。
>> イベントについてはこちら
 

太平洋に面した城ヶ島公園が会場



城ヶ島公園。広々〜!

会場は神奈川県三崎町城ヶ島の城ヶ島公園。
三浦半島の南端にあり、会場までの道すがら、松林の間から海が見えました。





海が近いです。

我々が会場入りしたときにはすでにたくさんのお客さんが行き来して、飲食店のブース「島のごはん」には行列ができ始めていました。

場内は、お洒落なテントや飾り付けでまるで都市型フェスのようでしたが、まとっている雰囲気は地元のお祭りのよう。なんとも心地良い空気でした。


地元のお店が出店する「島のごはん」。もちろん城ヶ島の食材を使用。
 

3人の監督によるトークショー


上映作品の監督3人によるトークショーは、リラックスした雰囲気の中、会場内にあるテントで行われました。



トークテーマは「これからの日本映画」。
若く個性的な監督たちが語る映画に対する考えは、鋭い考察と率直な物言いも含めてとても刺激的でした。また、映画の作風にも通じる(これはインタビューと上映作品を観てさらに強く感じました)、興味深いものでした。


左から、高島優毅監督、林隆行監督、太田信吾監督

ところで、この映画祭で上映される3作は「未完成映画予告編大賞」のエントリー作品からピックアップされている、オリジナル短編映画です(「星降る町の映画祭」のみでスクリーン上映され、現在はイベント公式サイトにて公開中。リンクは後述)。

シネマトリップでは3作品の監督それぞれにインタビューさせていただきました!映画やご自身について詳しくお伺いした内容は後日公開します。インタビュー自体がとても面白いものでしたので、お楽しみに。



太田信吾監督  ●上映作品『大津 city 今恋心』(イベント公式サイトで全編公開中)
「主人公の方には、運命的に出会いました。映画は、隠しようのない現実や新しい価値観、タブーなどをきちんと提示できる。だからこそ、言い出しにくいようなテーマに取り組んでいます」



林隆行監督  ●上映作品『浅草スマイル』(全編公開中)
「とにかく映画が好き。だから、観る人も関わってくれた人も絶対後悔させません。本作は短編ですが、長編映画の手法を取り入れてギュッと撮りました。次は長編を...撮らせろ!!」



高島優毅監督  ●上映作品『巣鴨特急2030』(全編公開中)
「もともとコメディや笑いが好き。この映画祭では来てくれた方と一緒に初上映を観られるのでとても楽しみだし緊張しています。一人でも笑わせられたら、本望です。」

 

ゆったりした時間を楽しむ上映前のサンセットライブ


上映まではまだかなり時間がありましたが、すでに会場には昼間より多くのお客さんがつめかけ、レジャーシートやイスを広げて思い思いに時間を過ごしています。





映画本編の上映に先立ってシネマキャラバンによるショートムビー上映&サンセットライブが行われました。
スクリーンの映像に合わせて、ミュージシャンが演奏するというスタイル。
城ヶ島の自然やそこに暮らす人々の日常やインタビューが映し出される中、生演奏の音楽が心地よい音量で聞こえてきます。



映像の内容は、さらに海外の人々の暮らしへとつながっていきます。伺ったところ、実際にシネマキャラバンがイベントをして来た都市を映像化したもので、彼らの活動理念でもある”Play with the Earth”がタイトルだそう。
今後もシネマキャラバンが旅を重ねていくことで、人々の暮らしの中に笑顔が増えていく、そしてこのロードムービーの内容が増えていく。終わりのない活動の物語です。

実験的とも言えるパフォーマンスですが、映し出される自然や人々が映るスクリーンと、大きな海と空とが溶け込んで、さらに生演奏が重なり、幻想的で不思議な没入感がありました。



ライブが終わる頃には、すっかり日も暮れ、空には星が。
満天のとまではいかないまでも、文字通り星降るような夜空です。



監督の舞台挨拶が終わり、いつもの映画館で感じる独特の緊張感に包まれて上映がスタート。
けれど、映画館とは違って、上映中も周りのお客さんたちの様子や反応がダイレクトに伝わってきました。笑い、ツッコミ、驚き、ため息、感動...。映像の光と、夜空と、映画の音響と、声のざわつきと、風とが一体となりました。

 

これからの映画の「観る」


今回おじゃました「星降る町の映画祭 with CINEMA CARAVAN」は、来場した方たちも含めて、会場全体が映画上映というよりはまるで野外音楽フェスかキャンプイベントのような雰囲気でした。

前述の通り、映画館とは違って、周りの音や様子を感じやすい環境は、純粋な映画鑑賞という意味では賛否がわかれるかもしれません。本来主役であるはずの映画がおろそかになってしまわないかという危惧も感じました。
けれど、同時に映画館では味わったことのような一体感やリラックスした雰囲気、野外ならではの解放感を感じることができました。

現在では映画の観方も昔と比べて多様化しています。
映画館で観ることができる映画の種類はメジャー作品が中心で、そう多くはありません。いわゆる単館系の映画館は減りつつあり、インディーズ作品は一部の地域以外ではほとんど触れる機会がありません。また、インターネットの普及も影響しているでしょう。

そんな中で、面白いけどまだ知られていない作品や、実験的な作品を、映画館とはまた違った形で観ることができるイベントというのは、これからの新しい映画の上映方法としてはかなり「あり」なのではないでしょうか。

確かに、映画という媒体は、まず作品があり、観客はその作品と一対一で向き合ってこそ、面白さを感じることができるものです。けれど、同時に映画を観ている時の周りの空気や、他のお客さんや景色など、映画以外の要素も映画体験の一つとして感じるののは、非常に楽しいことです。

映画祭が終わって、帰り支度をしている中、前の方に座っていた老夫婦が「いいイベントだったねえ」と嬉しそうにつぶやいていたのがとても印象的でした。
今後、映画産業やメディアがますます多様化していく中で、「星降る町の映画祭」のようなイベントは新しい映画鑑賞の可能性を秘めているのではないでしょうか。