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2017.11.21 ISSUE

観る人と観せる人がオープンに行き交う映画祭 KAWASAKIしんゆり映画祭レポート

映画が身近な街でもっと映画を知ろう

みなさんは映画がとっても身近な街「新百合ケ丘」をご存知ですか?東京都心からも行きやすい小田急線沿線に位置するこの街は、芸術のまちづくりを推進する場所としても知られています。
日本映画大学、シネコンのイオンシネマ、ミニシアター系作品を上映する川崎市アートセンターが揃い、映画と縁の深い地域。そんな新百合ケ丘で開催された『KAWASAKIしんゆり映画祭』にお邪魔したのでレポートします。
 
伺ったのは11月4日(土)。会場の川崎市アートセンターは開館から10周年、この秋11年目に突入しました。通常は洋画中心のミニシアター系作品を上映しているそうですが、映画祭期間中は市民スタッフが選んだ作品を上映するため、日本映画が多くなっているとのこと。

KAWASAKIしんゆり映画祭の様子

会場に入るとまずは『KAWASAKIしんゆり映画祭』のポスター、そしてスタッフの方々がお迎えしてくれました。この映画祭は多くのボランティアによって運営され、観客と映画の距離がとても近い開かれたイベントなんです。商業地と閑静な住宅地、そして丘陵など自然も身近なこのエリア。週末のゆったりした時間の上映に、自然とスタッフの方にも話しかけたくなりました。
 
この日は全6上映ありましたが、映画祭に縁のある深田晃司監督作2本を鑑賞しました。両作とも”異質なもの”が日常に突如入り込むというスタートは同じものの、全く異なるテイストの作品です。
1本目は昨年のイメージフォーラムの特集上映に際し、新たに製作した短編『鳥(仮)』。部屋にいる男と女と女、男が1人の女に質問されているシーンから始まり、普通の会話から突然シュールな展開に。7分という短い作品ですが、最後はくすっと笑うこと間違いなし!
2本目は『淵に立つ』。昨年カンヌ国際映画祭に初参加で初ノミネートされ、「ある視点」部門の審査員賞受賞という快挙を成し遂げた長編です。崩壊したある家族の数年間を描写した衝撃の人間ドラマ。本作は観る側に”家族とは?”という問いを投げかけます。観る人それぞれの家族や背景によって、受け取り方も千差万別のはず。
 
上映後は深田晃司監督、『淵に立つ』主演・筒井真理子さんのトークショーが行われました。鑑賞直後に作った方々の話が聞ける時間はなんとも贅沢!作品の意図や演じる側の心境など、時間が許す限り語ってくれました。

KAWASAKIしんゆり映画祭 トークショーの様子
 
「20代に考えていた企画。突然訪れる暴力を映画で表現したかったんです。キャスティングの話の時に、筒井さんは主人公の章江にぴったりと、プロデューサーと意見が合いました。
観客に結末を委ねることは意識しています。見る人が100人いれば100通りの見方がある、観る人の個性で感想が変わればいいと思います。」
とは深田監督。
前後半で全く雰囲気の変わる章江について筒井さんは
「この役をちゃんとやらなければという焦燥感がありました。章江と同じ特徴(ある症状)を持つ方に会ってお話を聞き、それを演技に取り入れたり、後半は章江の心の変化にともない太った方がリアルだと思って、肉体改造をしようと思いました。」 と撮影時のことを語ってくれました。司会から3週間で13kg体重を増やしたことが告げられると、会場からは驚きの声が!

本作はフランスとの合作。海外との合作は、撮った作品を出す場所(上映場所)が増える、その結果観てくれる人が増える、と話していた監督の言葉も印象的でした。またここでしか聞けないカンヌ映画祭のエピソードなど、興味深いお話も...!

 

手づくり感とオープンな雰囲気を大切に

「今年は結果的にドキュメンタリーが多くなりました。新百合ケ丘は、メジャー作品がシネコンのイオンシネマ、単館系作品はアートセンターで常時上映しているので、映画祭では特に普段観られない作品を選定しています。」
とは映画祭事務局の大多喜さん。

KAWASAKIしんゆり映画祭の様子

スタッフの多くは市民ボランティアで、作品選定から広報・当日の運営まで全てを担当しているそうです。
「ここでは元々見る側だった人が見せる側になったり、運営する中で作る方との距離が縮まったりします。特徴は『手づくり』という点。
また、中学生の映画制作ワークショップやバリアフリー上映など、とても開かれた映画祭です。以前はこのワークショップしかありませんでしたが、最近は近隣で様々な年齢対象のワークショップも増え、私たちの活動が何かしら寄与しているかもしれない、と思っています。
オープンなイベントなので、肩肘張らずに映画を観に来てください。」
とも、親しみやすい映画祭の雰囲気を語ってくれました。
 
見るだけではなく見せる事に興味のある方、また作る側をもっと知りたい方も、映画に触れるために新百合ケ丘へ行ってみるのはいかがでしょう?肩肘張らず気軽に、日常の楽しみの1つとして。

写真提供:KAWASAKIしんゆり映画祭
 
KAWASAKIしんゆり映画祭の詳細については公式サイトをご覧ください。
http://www.siff.jp/siff2017/